身近な人と死別したときに、残された人は悲しく、大きな喪失感を経験する。
このような心理状態から死を受け入れ、悲しみを乗り越えるまでのプロセスに寄り添うために「グリーフケア」というアプローチがある。
グリーフケアは1960年代にアメリカで生まれたケアで、身近な人を亡くしたご遺族が悲しみを乗り越えながら成長し、立ち直ることを目的としている。
スピリチュアルな領域も含めて支えていくものだ。
看取り介護においても、ご遺族へのグリーフケアの需要は高まっている。
主にご遺族に向けて行われることが多いグリーフケアは、実は看取り介護を担当した介護職にも必要であるといわれている。
看取り介護は、精神的な負担が大きい業務である。
これまで介護を行ってきた方の死に直面することは、介護職にとっても大きな悲しみであり喪失感をもたらす出来事だといえる。
看取り後も悲しみが止まらない、ぼんやりとしてしまうなど、心の不調を訴える介護職がたくさんいる。
ご遺族はもとより、介護職自身のためにも、グリーフケアについて学んでみてはどうだろうか。
グリーフケアについて、わかりやすく解説した本も出版されている。
講談社現代新書から出版されている『死別の悲しみに向き合う グリーフケアとは何か』(著者:坂口幸弘)は、入門書としておすすめの一書だ。
ご遺族の悲しみに寄り添いたいと思う方には、勁草書房の『グリーフケア入門 悲嘆のさなかにある人を支える』(編著:高木慶子)もおすすめだ。
グリーフケアについて学ぶプロセスが、死を受け入れ、介護職の心の傷を癒すセラピーとなるだろう。
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